これ間違い!「体に触れると身体介護、触れないのは生活援助?」介護の専門性ここにあり!

仕事力向上

今回は、介護の「おもしろさ」を知っていただくためのお話です。

訪問介護(ホームヘルパー)が、ご利用者のお宅で行うお仕事の種類は、おもに「身体介護」「生活援助」にわけることができるのを知っておられますか。
※他に「通院等乗降介助」という分類もあります。

この話は、訪問介護員(ホームヘルパー)さんや、ケアマネジャーさん以外はあまりご存知ないかもしれません。
なぜかと言いますと、居住系サービス、施設などで仕事をしていると、介護の仕事は、身体介護も生活援助も一体的に行われていて、わける必要もありませんから、気にしている人もおられないと思います。

ただし、訪問介護の世界の中では、この2つの取り扱いは、結構な違いがあります。

「身体介護」と「生活援助」何が違うの?

何が違うのでしょうか? ズバリ! 「内容」と「単価(料金)」が違います。
くわしくは後に述べますが、内容の違いは、おおむねこんな感じです。

内 容

身体介護 食事や入浴、排せつなどの身体への介護
生活援助 掃除や買い物、洗濯などの身の回りの援助

介護報酬(基準の単価とは)

介護報酬という基準の単価(金額)が全然、違います。
介護報酬というのは、国が決めるサービスごとの単価(金額)です。これによって、「利用者が負担する利用料金」と「事業所に入っている報酬(収入)」が、決まります。

サービスの種類と時間

たとえば1時間、ご利用者のお宅でホームヘルパーさんが仕事をしても、事業所に入ってくるお金は、次のような感じです。(下の額の1~3割を利用者が負担します。)

身体介護:3,960円   生活援助:2,250円

身体介護
(中心型)
20分未満:1,670円
20分以上30分未満:2,500円
30分以上1時間未満:3,960円
生活援助
(中心型)
20分以上45分未満:1,830円
45分以上:2,250円

※加算等を加えるともう少し単価は高くなります。上記は、基本額で比較しています。
※都市部では1単位が10円以上なので少し単価がアップします。

  • 上記の金額は事業所に入ってくるお金を比較したものですが、これくらい単価に差がありますから、時間給で仕事をする登録型のホームヘルパーさんの中には、身体介護と生活援助の「時間給が違う」という方も珍しくありません
  • また、「生活援助」は、単価が低いだけでなく、一人暮らしの方や同居家族が病気等の場合に限られていて、ご要望をいただいても、ケアマネジャーが自由にケアプランに組めるようなルールにはなっていません。

 

おもしろい! 体に触れない「身体介護」があるんです

「身体介護」というと、食事介助、入浴介助、排せつ介助、着替え、移動介助等、体に触れて行うものだと言われます。
「生活援助」は、調理や掃除、洗濯、買い物などの、体への直接的な援助以外のものです。

これ・・正確に言うと間違いなのです。
「体に触れない身体介護」があるのです。下の表現が正しいです。

 

身体介護とは

  1. 利用者の身体に直接接触して行う介助サービス
    (そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)
  2. 利用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス
  3. その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。

ADL、IADL、QOLなどの用語の説明は文末にあります。

「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について
平成30年3月30日 厚生労働省老健局振興課長

 

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身体に直接接触して行う介助サービスでなくても、

利用用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービスは、身体介護の扱いになります。
自立生活支援のための見守り的援助と呼ばれたりします。

国の通知では具体的な例として次のような内容をあげています。
下の介助は体に触れないけど、全部、身体介護で扱うものです。

  1. 利用者本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
  2. 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
  3. ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助
  4. 認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
  5. 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)

「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について「1-6 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助(自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)」からの抜粋

 

上の1~5までの介護って、まさに、自立をお手伝いするための介助ですね。

ご利用者のご自宅で、日常生活の行為・動作を一緒にやりながら、自分にできるようなるための支援を行う。これって、まさに、介護の専門性であり、おもしろさだと思うのです。

こんなこと、継続的にやってくれる専門職は、介護の専門職だけです。

 

体に触れない「身体介護」これが介護のオモシロさ&専門性

上の例のひとつ・・

ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助

と言っても、誰でもできる介護ではありません。最低でもこの3つ点が必要です。

  • ご本人の認知症や身体能力の確認と把握
  • おうちのゴミ出し場所、曜日、分別・方法を確認
  • ご利用者が安心できる人間関係

 

 

プロの介護福祉士さん達は、本人の持つ力を把握して、作業手順を変えたり、説明方法を変えたりして、本人ができる方法を具体的に提案して、役割分担をしながらすすめていくのです。

たとえば、認知症の方の中には、複数の手順を平行するのが苦手な方も多いので、1つひとつの手順を短く区切って、同じ動作を繰り返す手順で説明することも多いです。

こうすることで、できなくなっていた、ペットボトルのゴミ出しができるようになった、認知症のご利用者もおられます。

 

生活の中で繰り返される、介護の力は、すごいんですよ!ホント。
介護って、おもしろいんです。こういう自分でできるようになるための、お手伝いをできるのが、介護の専門職なのです。

まとめ

タイトルにも書いていますが、「体に触れると身体介護、触れないのは生活援助」というのは、正確には間違いです。

身体に触れない身体介護である、「自立生活支援のための見守り的援助」には、介護のおもしろさが一杯つまっています。また、「介護の専門性はここにあり!」と言えるでしょう。

わたし、30年以上この世界にいますが・・介護っておもしろいです。ホント。
力不足ではありますが、みなさんに「介護のおもしろさ」とか「介護のチカラ」をお伝えすることができればと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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用語のかんたん説明

  • ADL
    エーディーエル(Activities of Daily Living)。日常生活動作。
    日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作で、食事、排泄、入浴、起居動作、移動、整容の動作をさします。
  • IADL
    アイエーディーエル(Instrumental Activities of Daily Living)。手段的日常生活動作。
    ADLより、複雑な動作で判断力を必要とする動作を含む。料理、掃除、洗濯、買物、電話などさします。
  • QOL
    クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)。「生活の質」や「人生の質」という意味です。


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